弁護士 古川拓からのメッセージ
事実解明や損害賠償請求に向けて(2) -証拠保全手続-
(1)では,交通事故などの際に,事実解明や損害賠償を行う上で,刑事記録を活用する場合について説明しました。
今回は,被害者が自ら証拠を集める手段の一つである「証拠保全手続」について説明したいと思います。
相手方に対して,損害賠償などの請求を行う場合,裁判所でこれを認めてもらうためには,多くの場合証拠が必要となります。
ところが証拠は,原則として,裁判所が集めてくれるわけではなく,自分で集めてくることになっています。
では,証拠資料が相手方の手元にある場合はどうすればいいのでしょうか。
実は,このような状況は決して珍しいことではありません。
例えば,医療事故や介護事故などのように病院や介護施設で事故が起こった場合,カルテなどの大切な証拠資料は,ほぼ全てが施設内にあります。
また,労災事故や過労死・過労自殺などが起こった場合も,事故の実態や労働者の働き方の実態を証明する証拠資料の多くは,職場にあるでしょう。
そのような場合,被害者としては,
①相手方の手元にどのような証拠があるかわからない,
②そもそも相手に対して賠償賠償を求めることができるのかどうかすらわからない,
という状態にあります。また,
③相手方が証拠を隠したり,ひどい場合は捨てたり書き換えたりして破棄してしまうかもしれない,
危険すらあります。
そういった場合,ただやみくもに相手に対して賠償を求める交渉を申し入れてみたり,いきなり裁判を起こすことは,
①こちらの主張が認められるかどうかの見とおしがたたず,紛争が泥沼化するおそれがあること,
②相手方に証拠を隠したり破棄する時間を与え,大切な証拠が日の目を見ないおそれがあること,
などから,おすすめできません。
「内容証明」について書いたことと同じように,不用意な相手方との接触によって,元も子もない状態になってしまうことすらあります。
そこで,利用を検討するのが,「証拠保全手続」です。
裁判所に申し立てて決定をもらい,ある日突然裁判官と共に現場を訪れて証拠を出してもらい,その場でコピーするなどして証拠を確保します。
警察などの捜査機関が捜索や差押えをするのと少し似た手続と言えるかもしれません。
証拠を確保することで,相手方がその日以降に証拠を隠したり書き換えたりすることを防ぐことができます。
また,その段階で証拠を見ることができ,実際にこちらが相手へ請求手続を行うかどうかを検討する材料を得ることもできます。
この証拠保全手続は,証拠が相手方の処に偏って集中している事案では,とりわけその必要性が高い場合が多いと言えるでしょう。
私としても,事案の性質と状況に応じて有効に活用すべき手段だと考えています。
具体的手続の進め方や方法については弁護士にご相談いただければ幸いです。
(2008/10/09)
消費者被害(1) クーリングオフ期間の開始時期について
今日は,クーリングオフ制度のお話しをしたいと思います。
まず最初に,簡単に前提知識を入れましょう。
「クーリングオフ」制度とは,簡単に言うと,一旦申し込んだ契約の撤回や解除ができる制度で,「頭を冷やす」という意味からこの名前がついています。
しかも違約金などの発生がないという消費者側に有利な制度なので,あとで「やっぱり買うのを止めておこう」という時,とても便利です。
制度の概要については,経済産業省の近畿経済産業局HPなどで説明しているのでご参照いただければと思います。
ここでは,
「契約(申込)してから,8日間が経ってしまっているんだけど。。。」
というご相談があった場合でも,まだクーリングオフできる場合があるということについてご説明したいと思います。
すなわち,クーリングオフ期間は,業者が消費者に「法定書面」を交付してから進行し始めます。
そして,この「法定書面」は,経済産業省などの省令で記載すべき事項が厳格に決められているのです。
具体的には,
「会社の名前だけでなく代表者名が必要」
「契約締結を担当した担当者の氏名が必要」
「商品の種類や数量が『一式』『1セット』などではダメ」
「クーリングオフ制度の説明については,赤枠の中に赤字で書き,文字の大きさが8ポイント以上であること」
などなど,業者は詳細な書面を作成する必要があるのです。
ということは,業者から法定書面の要件を満たさないいい加減な書面しかもらっていない場合,クーリングオフ期間がそもそも進行を開始していない可能性があります。
その場合,契約(申込)した日からクーリングオフ期間とされる日数が経過していても,そもそも期間のカウントが始まっていない以上クーリングオフが可能となります。
このように,消費者関係の法律は,業者に厳しい要件を課すことによって,業者が消費者を食い物にすることを防いでいます。
また,仮にクーリングオフ期間が終了していても,消費者契約法による取消が可能な場合もあります。
したがって,被害に遭ってしまったとしても簡単にはあきらめず,弁護士に相談するなどして挽回していきましょう。
※もっとも,契約の対象となった商品の種類によっては,そもそもクーリングオフができない場合があります。(例:不動産売買契約を業者の事務所で締結した場合など )
ただ,この場合においても,消費者契約法に基づく取消などが可能な場合もありますので,あきらめずに弁護士にご相談されることをお勧めします。
→これらのことについては,また後日お話ししたいと思います。
(2008/10/03)
「とりあえず内容証明」にご注意(2)
(1)では,「内容証明」郵便を出す,時と場合についてのお話をしました。
今回は,「内容証明」を出すときに注意すべき「内容」について説明したいと思います。
※以下「内容証明」とは,「内容証明・配達証明付通知書」の略称を意味します((1)でも同様)。
らくさい法律事務所で「内容証明」を作成する場合,
「そもそも必要な場合でなければ出さない」
「最低限必要なこと以外は書かない」
ことをモットーにしています。その理由について,以下順番に説明したいと思います。
1.「内容証明」は高い
まず,単純に言えることは,内容証明郵便は費用が高いということです。
これは弁護士に支払う費用ではなく,郵便局に支払う費用のことです。
通常の郵便料金の外に,内容証明料,配達証明料,書留料などが加算されていき,ちょっとした文書でもすぐに2千円以上かかってしまいます。
しかも,内容証明料は出す手紙の枚数に比例するので,手紙が長くなればなるほど料金は上がっていきます。
もちろん,必要なのであればやむを得ない出費だといえますが,本当に必要なのでしょうか。
従って,「なぜ内容証明を出すのか?」ということについて,これを出す前にその意味や効果をしっかり踏まえるべきだと思います。
2.本当に「内容証明」は必要? 証明する必要がない場合は原則不要
次に,内容証明を出す必要があるかどうかを,一度検討してから出すべきだと考えています。
結論から言うと,内容証明を出す意味は,次の2点に尽きます。
①(手紙を出す)相手方に伝えた内容を,後で証明する必要がある場合
②その手紙が相手方に届いたことを,後で証明する必要がある場合
逆に言うと,①②でない場合は,「内容証明」を出す必要はありません。
具体的な例をいくつか挙げて説明します。
(1)家賃を支払ってくれない賃借人に出て行ってもらうための解除手続 → 必要
大家さんは賃借人と賃貸借契約を結んで家を貸しています。
この場合,仮に賃借人が家賃を支払ってくれない場合,賃借人に当然に出て行ってもらえるわけではありません。
賃借人に「●●日以内に滞納賃料を支払ってくれないのなら,契約を解除します」と通知して契約を解除しなければいけません。
これをしないで賃借人を訴えても,裁判所は「まだ契約を解除していないので,解除してから来て下さい」と言うでしょう。
そこで,賃借人から「解除だなんて言われたことがない」「そんな通知は受けていない」などという逃げ口上を言われないために,
①賃借人に「支払わないと解除する」という内容の意思を表示したこと(内容証明)
②それが賃借人に届いたこと(配達証明)
を証明する必要があるのです。
従って,この場合,「内容証明」を出すことが必要であると言えるでしょう。
(2)交通事故で相手から被害を受け,損害金を請求する場合 → 原則不要
このような場合,相手方に通知を行うことが必要であるようにも思えます。
しかし,結論から言うと,特に「内容証明」を送る必要はないと考えらえます。
交通事故で受けた損害を賠償してもらう場合,法律上あらかじめ相手に通知する必要はありません。
後になって,「●●日に相手に通知した」とか「相手がその通知を受けた」ことを証明する必要はないのが通常です。
従って,普通郵便で相手に通知を送り,その返答を待って交渉を始めるというやり方で差し支えないと思います。
<※例外その1>
損害賠償請求権が消滅時効にかかる可能性がある場合には,時効中断のための催告をする必要があります。
その場合は,「相手に通知したこと」「それが相手に届いたこと」を証明する必要があり,「内容証明」が必要な場合と言えるでしょう。
<※例外その2>
お客様のお気持ちとして,相手に礼を尽くしたいと考える場合などです。
「内容証明」を送ること自体には,「2.」で説明した以上に,特に法的な意味はありません。
ただ,世間一般には,相手に「正式に」通知するというイメージがあることは否めないため,お客様のお気持ちに添って,いわば「ご挨拶」代わりとして送る場合もあるかと思います。
ただし,その場合(1)で書いたように,相手に逃げられる恐れがあるかどうかを考慮する必要があるでしょう。
(3)離婚相手に弁護士が受任したことを知らせる場合 → 原則不要
一般に,話し合いを始めたり,調停を起こしたりしたことを,後で証明する必要はありません。
そこで,このような場合の相手方への通知方法として「内容証明」を用いる必要はないと思います。
ただし,
①お客様が直接相手方と接触すること自体したくない場合で,
②相手方が弁護士を飛び越えて無理矢理連絡を取ろうとする可能性がある場合,
には,「内容証明」を送付しておく必要があるかと思います。
将来,「こちらが弁護士を通して話をして欲しいと連絡したのに,相手方は本人と無理矢理連絡を取ろうとした」ことを証明し,相手方の悪質さやこちらの精神的苦痛を証明する必要が生じる場合があります。
このような場合は,「内容証明」を送付しておくと良いでしょう。
また,前項で書いた<※例外その2>の場合も,「内容証明」を用いても良い場合かと思います。
3.そんなこと書いてしまって,後で大丈夫? デメリットがある場合は有害
次に,「最低限必要なこと以外は書かない」という点について説明します(これは,相手方に出す文書全てについて言えます)。
一言で言ってしまうと,「内容証明は自分自身も縛る」ということです。
「内容証明」は,相手との法的なやりとりを開始する序盤に出されることが通常です。
しかし,そこでこちらが書いたことは有利・不利を問わず全て証拠として残るのです。
とすると,後に新しい事実が判明して方針転換の必要が出たとしても(これはしばしば起こることです),一旦書いてしまったことに反する言動をとることがとても難しくなってしまいかねません。
したがって,必要なこと以外の事実などを長々と記載することで,自分自身の将来の言動を縛ってしまう危険性があることを十分に認識すべきだと思います。
実際に私自身,長々と書かれた「内容証明」を不用意に送りつけてきた相手方が,争いの終盤で自己矛盾して敗訴した事例を何件も目にしています。
不必要な内容証明の具体例は,事実経緯についての自分側の認識を長々と述べる「内容証明」です。
相手方が各事実について違う認識を持っていたり争ってくる場合には何の意味もありません。
話し合いの前提としてこちらの認識を相手に伝えるためであれば,口頭か普通郵便で十分だと思います(相手が話し合いに応じる気があるのなら,そもそも形式にはこだわらないはず)。
逆に,それ以降こちら側がその内容に反する言動をとることが難しくなる危険がでてしまい,方針転換できなくなってしまいかねません。
嘘をつくべきではありませんが,相手の言動に応じてこちらの物言いを考えるのは争いごとの基本だと思います。
不用意な「最初の一手」によって,本当なら詰むはずの詰め将棋が詰まなかった,という事態はできる限り避けたいものです。
また,こちらの考えや出方を相手に不必要に知らせてしまう,という点でも,感心できないやり方だと思います。
もちろん,詳細な「内容証明」が必要な場合があることを否定はしません。
しかし,その場合,とても慎重に言葉を選ぶ必要があると考えています。
※上記はあくまでも一般論ですので,常に例外がありうることについてご留意下さい。
具体的にお客様ご自身の事件において「内容証明」が必要になるかについては,弁護士にご相談いただくと良いでしょう。
らくさい法律事務所では,
①お客様の事件において「内容証明」が必要かどうかの検討と,
②お客様の気持ちに添った事件進行を心がける視点から,
「内容証明」を出すかどうかをご相談させていただきたいと思います。
(2008/09/25)
事実解明や損害賠償請求に向けて(1) 刑事記録の活用
交通事故をはじめとする様々な事故などで,被害に遭われたお客様の依頼を受け,事実解明や賠償請求を行っています。
多くの場合,被害に遭われた方の手元には,何が起こったかの事実を解明する資料や証拠があまりないことがほとんどです。
そこで,ご依頼を受けた後,まずはそういった資料や証拠を集めることから仕事がはじまります。
その際,警察などの捜査機関が捜査を行った事件に関しては,彼らが集めた捜査資料や記録を手がかりにすることがあります。
もちろん,一般的に言うと,捜査機関の記録については,例えば警察に直接交渉しても「捜査の秘密」を理由に拒否されてしまいます。
しかし,刑事事件として捜査を行った記録で,検察官に送致(「送検」といいます)されたものについては,被害者の方であれば,
①起訴(※1 後述)されなかった事件
→実況見分調書のみ
②起訴された事件
→①に加え,証拠として裁判所に提出された記録や公判(刑事裁判)での証言記録など
について,検察庁や裁判所に請求して,ご覧になったりコピーしたりすることが可能になります(「閲覧・謄写」といいます)。
この中で,特に②で大きいのは,加害者を含めた関係者の供述調書を見ることが可能になる点です。
事件の事実を解明していく上で,客観的な証拠も大事ですが,関係者が当時どのように考え行動していたかについては,やはり本人の話を聞くことが一番です。
しかし,多くの場合,被害者が直接加害者に対して事実関係を問いただす機会はほとんどありません。
また,仮にあったとしても,加害者は自分に都合の悪いことを正直に話さない,というのが残念ながら多くの場合の現実です。
しかし,警察などの捜査機関は,強大な国家権力を背景に捜査を進めます。
その中で,事件が発生して間もない時期に,加害者など関係者の生々しい声を調書に記録していることが多く,その調書を見ることは,被害者の方ご自身が事実を知る上で非常に役に立ちます。
例えば,私が取り組んでいる西武鉄道事件においても,事実を証明していく上で刑事記録がとても参考になりました。
西武グループの総帥であった堤義明氏ほか関係者の膨大な量の供述調書を取り寄せ,彼らの長年の違法な行為がどのようにしてなされ,事件の発生に至ったのかについて分析した上で,立証活動を行いました。
その結果,裁判所も,彼らの違法行為を詳細に認定した上で,民事上の賠償責任を認めるに至ったのです(※2 後述)。
このように,様々な事件の被害者の方にとって,刑事記録をどこまで見ることができるかは,とても大きな問題だと言えるでしょう。
先ほどもご説明したように,①事件が起訴されていない場合は客観的な事故状況を記載した実況見分調書くらいしか見ることができなくなるので,②起訴がされた場合と大きな違いが出てくるのです。
このような角度から見てくると,被害者の方が加害者に対する刑事裁判を望まれるのは,単に加害者を罰して欲しいからだけではなく,より事実が明らかになる
ために必要だからである,ということが,わかっていただけるかと思います。
私が様々な事件に関係して実感しているのは,多くの被害者の方が,
「何が起こったのか」
「なぜこういうことになってしまったのか」
という事実の解明を強く望んでおられるということです。
それは,事件で被った心の傷から立ち直っていく過程において欠かせないといっても過言でない大切なことだと思っています。
そこで,様々な方法を用いて,事実解明に向けた事件活動を行っています。
次回は,被害者の方側から直接裁判所に働きかけて行う証拠収集方法についてご説明したいと思います。
※1 検察官が,犯罪を犯したと考える人を裁判所に訴えることで,これによって刑事裁判が始まります。
※2 その後,被告である堤氏や西武グループ各社が判決を不服として控訴したことで,東京高裁に審理の場が移っています。
(2008/09/24)
会社が倒産する際に(2) 手形・小切手の不渡り
前回,会社が「倒産」「破綻」するということは,おおむね以下の場合があると説明しました。
(1)6ヶ月以内に2回手形・小切手が不渡りになった
(2)私的整理(任意整理)
(3)民事再生
(4)会社更生
(5)破産
今回は,(1)の場合について説明します。
手形や小切手の制度について詳しい説明はここでは省略しますが,要するに,
取引時に現金を支払うのではなく,後日(「支払期日」といいます),当座預金口座のある銀行から引き落としてもらう,
というやり方です。
ところが,その支払期日に,資金繰りが詰まったりして,当座預金が残高不足で引き落としできないという事態が発生します。
これを,手形の不渡り,と呼んでいます。
もちろん,何かの手違い,と言うこともあるので,1回であれば単なる事故ですみます。
しかし,これを6ヶ月間に2回起こしてしまうと,
銀行は,
①他の銀行にも通知して取引を停止した上で,
②借金があった場合その全額の返済を求めてきます。
③保証人がいれば,そちらにも通知や取立が行きます。
要するに,
全ての金融機関からそっぽを向かれた上で借金返済を迫られる状況になり,会社経営としては存続の危機と言えるでしょう。
直ちに会社が破産に至るとまでは言えないですが,まさに事実上「倒産」状態であると言えます。
手形・小切手などを会社が扱っている場合,経営者の方は言うに及ばず,労働者の方も,上記についての知識を踏まえていただければ幸いです。
(2008/09/21)
会社が倒産する際に(1) 基礎知識編
よく,新聞やTVなどで,会社が「倒産」するとか「破綻」するという言葉を目にします。
こう聞くと,「ああ,あの会社はもう終わりなんだな」と思い,会社がなくなってしまうのだと思われる方も多いかも知れません。
しかし,正確には,「倒産」とか「破綻」という言葉は,もっと広い意味で使われています。
だから,まず「会社が倒産する!」という情報をキャッチした場合,あわてずに正確な情報を掴むことが,その後のご自身の行動を決める上で大事です。
一般に,会社が「倒産した」とか「破綻した」という場合,次の5つのどれかに該当すると言われています。
(1)6ヶ月以内に2回手形・小切手が不渡りになった
(2)私的整理(任意整理)を開始した
(3)民事再生
(4)会社更生
(5)破産
これらのうち,会社がなくなることが決定しているのは(5)だけです。
その他の場合は,その後の推移で会社を身売りするなどして事実上会社がなくなる場合もありますが,確定とは言えません。
むしろ,経営者が何とか会社を存続させる方向で考えていることが多いです。
そこで,まずは会社がどの状態に入っていくのかを見定めた上で(経営者の方であれば決定した上で),次の対策を考えて行くことになります。
次回以降順番に,それぞれの状態について分かりやすく説明していきます。
その上で,経営者の方・労働者の方の,事態を乗り切る考え方について私の意見を述べたいと思います。
(2008/09/18)
リーマンブラザーズ破綻
アメリカの大手投資銀行であるリーマンブラザーズ社が破綻し,会社更生手続申請(アメリカ法)を行うという記事を読みました。
http://www.asahi.com/business/update/0915/TKY200809150142.html
要するに,
①負債が大きすぎてこのままだと会社がやっていけないので,
②裁判所から経営者となる人(更生管財人)を任命してもらい,
③その人の下で,負債の大幅カットをするか会社を身売りして債権者に返済する,
という手続きに入ったということです。
「ハゲタカファンド」という言葉が新聞やテレビで踊り,経営危機に瀕した企業をはじめとした企業への投資・買収を行ってきた同社ですが,ついに自身がその対象になってしまったということでしょう。
ただ,この話を私たち市井の人間に活かすとすれば,どのような企業であれ倒産する可能性があることを認識し,万が一に備えるということでしょうか。
景気が退潮傾向にある現状からすれば,残念ながら,ご自身が経営したり働いていたりする会社が倒産する事態に直面する方も多くおられると思います。
そのような場合に自分自身はどのように行動すべきか。
何を知っていれば,最悪の事態を避け,生活をまもることができるのか。
やはり,倒産に際しても,これに関する法律や制度について一定の知識を持っていた方が,大変な中でも適切に行動することができると思います。
そこで,今後,それぞれ経営者の方・労働者の方にとって,会社が倒産する場合に知っておいた方が良いと思われる法律知識や制度について,わかりやすく説明していきたいと思います。
(2008/09/15)
「いのち」の問題に取り組むこと(2)
(1)に続いて,ここでは,事件に取り組む中で実感することについて,書きたいと思います。
弁護士が事件に取り組む場合,多くの場合は,ご本人からお話をうかがって,事態を把握し,方針を立て,実行していきます。
しかし,ご本人が亡くなられた場合,それはできません。
そこで,「いのち」の問題に取り組む場合の多くは,ご本人の「あしあと」をたどることで,ご本人を際だたせる営みを行うことが,大きな割合を占めてきます。
やりとりしたメール,日記,仕事上で作成した文書,走り書きのメモ・・・
その他,亡くなられたご本人が遺して行かれた「あしあと」を,手段を駆使して丹念に拾い集め,整理させていただく中で,ご本人の行動や思いが浮かび上がってきます。
そうなれば自然とその中で,私自身がお会いしたことのないご本人の人となりや悩み,がんばりなどにも触れることになります。
「この時,この人は,こんな状態で助けもなかったのか。さぞや辛かったでしょう」
「これだけ働いていたなんて,本当にしんどかったでしょう」
「本当に最後の最後まで,あきらめずにがんばっていたんですね」
また,ご家族と一緒に「あしあと」を囲んで打ち合わせを重ねる中で,ご本人が真ん中にいるような,そんな思いに陥ることがあります。
ご家族が体験された事実を陳述書などにまとめている際も,ご本人は決してそこにいないのだけれど,同じ思いになることがあります。
そういう営みの中で私自身が得た「共感」を基礎に,最初は茫漠としていた「事実」が,暁光のように浮かび上がってきます。
ご家族や私自身が抱いている「共感」を,どのようにして他者(裁判所や相手方など)に理解してもらえるように構成するか。
想像力と構成力が要求される,弁護士としての腕の見せ所,です。
こうやって,「あしあと」(=証拠)を集めて整理し,「事実」に構成していく。
その過程の中で,何が真実か,誰が責任を負うべきか,再びこのようなことが起きないためには何が必要なのか,などが少しずつ明らかになっていきます。
ご家族がそういった過程の中で,断ち切られてしまった家族の関係を再び構築して行かれることも多く,とても心があたたまります。
もちろん,ご本人が亡くならずに生きていて,共にがんばれた方が良かったと思います。
しかし,起こってしまった取り返しのつかない状態の中で,ご家族が事実をつきとめ,ご本人の名誉を取り戻す営みを取り組まれる際,私たちを必要とされるなら,一生懸命お手伝いしたいと思っています。
それもまた,ご本人の「喪」に欠かせない,大切な営みだと思うのです。
(2008/09/11)
「いのち」の問題に取り組むこと(1)
弁護士登録して以来ほぼ常に,過労死や過労自殺の事件などをはじめ,人の「いのち」が失われてしまった事件に取り組んでいます。
先日経営幹部の書類送検があったJR福知山線事故ご遺族・負傷者の支援活動についても,その中の大きな一つです。
私は,亡くなられた人たちの「いのち」の問題について,弁護士のライフワークとして,積極的に取り組んでいきたいと考えています。
それは, この問題こそ,単なる「結果」を得るためだけではなく,そこまでの「過程」が大切だと実感しているからです。
突然の事故や事件で人が亡くなられたとき,茫然自失の後,遺されたご家族にとっての第一歩は,
「何が起こったのか」「なぜ,こんなことになってしまったのか」
というところから始まることが多いように思います。
渦の一番中心であった犠牲者が既に亡く,そもそも何が真実かすらよく分からない。
当時犠牲者の近くにいた人たち(加害者であることが多い)の言葉が重くなり,何を信じて良いのかわからない。
そういった状況の中で,犠牲者を弔い事後処理をしなければならないという,とても辛い「喪」の途に立たされます。
その中で,大切なご家族を失うに至った経緯や事実を知りたい,明らかにしていきたいとお考えになった場合でも,何をどのようにして良いのかわからないまま,苦しい思いを続けている方も多いと思います。
ある介護事故に取り組んだ際,長年連れ添ったご主人を亡くされた奥様から,
「この身が灰になるまでがんばって,何でこうなったのかつきとめたい。
でも,私自身は何をしたらよいかわからないので,(弁護士に)お願いするしかできない」
という言葉をいただいたことがあります。
「この身が灰に…」という言葉は,忘れることができません。
こういったご家族の方の「思い」を受けて心を動かされ,手段を駆使して思いを実現することこそが,弁護士の使命であり,やりがいだと思います。
事件を取り組む中で実感していることは,(2)で触れたいと思います。
(2008/09/11)
長岡京音頭
昨日6日,長岡京市にある向日が丘養護学校で開かれた,「乙訓障害者夏祭り」に参加してきました。
お祭りでは,ラテン音楽やピエロの演し物,教職員組合の方や各種関連団体のお店などが出ており,にぎやかな雰囲気でした。
お祭りのクライマックスに盆おどりがあり,おどりのシメは,「長岡京音頭」でした。
「あ~,春はナ♪・・」で始まるこのおどり,小学校時代に毎年,一学期終業式後の夏祭りでおどっていたという,とても懐かしいものです。
「せっかくやし,昔とったきねづかでおどってみようか」と思ったのですが,保存会のみなさんがおどっているのを見ると,なんと,昔の記憶と全然違う振り付け!
むざんなおどりを披露してしまいました。。
。。あれは,最近振り付けが変わったりしていないですか?
でも,盆おどりでは,障害者のみなさん,長岡京音頭保存会のみなさん,その他参加者のみなさんが一緒になって楽しそうにおどりの輪をつくっていました。
地域に住み暮らすみんなが,お互いの多様性の中で一緒に楽しむ。おまつりを運営された関係者のみなさんの心が行き届いていたからこそだと思います。
昔ながらの村祭りとはひと味違った,これもまた地域のコミュニティがつくるお祭り。
こういうコミュニティが続いていくことのお手伝いも,今後是非していきたいと思います。
(2008/09/07)