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弁護士 古川拓からのメッセージ

事実解明や損害賠償請求に向けて(2) -証拠保全手続-

(1)では,交通事故などの際に,事実解明や損害賠償を行う上で,刑事記録を活用する場合について説明しました。

今回は,被害者が自ら証拠を集める手段の一つである「証拠保全手続」について説明したいと思います。

 

相手方に対して,損害賠償などの請求を行う場合,裁判所でこれを認めてもらうためには,多くの場合証拠が必要となります。

ところが証拠は,原則として,裁判所が集めてくれるわけではなく,自分で集めてくることになっています。

 

 

では,証拠資料が相手方の手元にある場合はどうすればいいのでしょうか。

実は,このような状況は決して珍しいことではありません。

例えば,医療事故介護事故などのように病院や介護施設で事故が起こった場合,カルテなどの大切な証拠資料は,ほぼ全てが施設内にあります。

また,労災事故過労死・過労自殺などが起こった場合も,事故の実態や労働者の働き方の実態を証明する証拠資料の多くは,職場にあるでしょう。

そのような場合,被害者としては,

①相手方の手元にどのような証拠があるかわからない,

②そもそも相手に対して賠償賠償を求めることができるのかどうかすらわからない,

という状態にあります。また,

③相手方が証拠を隠したり,ひどい場合は捨てたり書き換えたりして破棄してしまうかもしれない,

危険すらあります。

 

そういった場合,ただやみくもに相手に対して賠償を求める交渉を申し入れてみたり,いきなり裁判を起こすことは,

①こちらの主張が認められるかどうかの見とおしがたたず,紛争が泥沼化するおそれがあること,

②相手方に証拠を隠したり破棄する時間を与え,大切な証拠が日の目を見ないおそれがあること,

などから,おすすめできません。

「内容証明」について書いたことと同じように,不用意な相手方との接触によって,元も子もない状態になってしまうことすらあります。

そこで,利用を検討するのが,「証拠保全手続」です。

裁判所に申し立てて決定をもらい,ある日突然裁判官と共に現場を訪れて証拠を出してもらい,その場でコピーするなどして証拠を確保します。

警察などの捜査機関が捜索や差押えをするのと少し似た手続と言えるかもしれません。

証拠を確保することで,相手方がその日以降に証拠を隠したり書き換えたりすることを防ぐことができます。

また,その段階で証拠を見ることができ,実際にこちらが相手へ請求手続を行うかどうかを検討する材料を得ることもできます。

 

 

この証拠保全手続は,証拠が相手方の処に偏って集中している事案では,とりわけその必要性が高い場合が多いと言えるでしょう。

私としても,事案の性質と状況に応じて有効に活用すべき手段だと考えています。

具体的手続の進め方や方法については弁護士にご相談いただければ幸いです。

(2008/10/09)

京都の弁護士 古川拓のひとりごと

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