弁護士 古川拓からのメッセージ
「とりあえず内容証明」にご注意(1)
お客様からご相談を伺っていると,
「とりあえず,内容証明を出して欲しい」
というご相談や依頼を受けることがあります。
形式も「本格的」だし,裁判の証拠にもなるということで,相手にものを申す場合に,とても有効な文書であるように思います。
しかし,この「内容証明」,例えば,
「貸したお金(あるいは売掛金など)が返ってこないので,相手に請求したい」
とか,
「被害を被った相手に対して,慰謝料(賠償金)を請求したい」
というご相談の場合,「とりあえず内容証明を出」してしまうと,かえってお金の回収を困難にすることがあります。
なぜか。
俗っぽく言ってしまうと,相手に「逃げられる」可能性があるからです。
お客様の相手方が,あなたからの支払を求める「内容証明」を受け取った場合,「こんなものを送ってくるとは,●●さん(お客様)は本気だな」という印象を抱くでしょう。
その相手方は,お客様の主張に身に覚えがあっても,「何とか逃げられないか」と往生際悪く考える人ではないでしょうか。
そして,おそらくお客様は,ご自身で相手と交渉しても相手に誠意がないなどで,うまくいかなかったことから弁護士にご相談されようとしていることと思います。
残念ながら,そういう相手方は,来るべき強制執行などに備えて財産隠しを行う場合が少なくありません。預貯金を引き出したり,自分のもっている不動産を誰かに譲渡してしまったり。。。
仮に裁判までやって勝訴しても,相手に財産がないと,こちらに現実にお金を取り返せず,判決も紙切れと変わらなくなってしまいます。
。。と考えてくると,このような相手に対して出す「内容証明」は,「今から攻撃しますよ」と予告しているに等しく,相手方に財産隠しの時間を与えるだけになりかねません。 そして,一旦財産隠しをされると,これを探し当てることはきわめて困難です。
むしろ,これは,「内容証明」を出さないで,債権の保全手続き(仮差押えなど)を行うことが必要な場合,かもしれません。
こう考えてくると,しっかりした見とおしのない「とりあえず内容証明」という考え方は,相手方からの回収のチャンスを不用意に摘んでしまう危険があることを,おわかりいただけたかと思います。
したがって,具体的な見とおしのないままに「とりあえず内容証明」を出す,ということは当事務所では行っておりません。
どのようなやり方が有効か,あるいはお客様の意向に沿ったものか。
当事務所では,お客様から,ご相談を十分伺った上で見とおしを立て,一番有効な方法をご提案したいと考えています。
(2008/08/17)

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