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弁護士 古川拓からのメッセージ

心の「ゆれ」も大切に

依頼者の方と打ち合わせをしながら事件を進めていると,依頼者の方が方針について迷い,決めかねられるときがあります。

私は,依頼者の方のこのような迷いや逡巡は,むしろあって当然だと考えています。

もちろん,依頼者の方の中には,相談の中で今の状況を整理してあげれば,スッキリと前に踏み出せる方もおられます。
また,既に自分で選んでいる途に踏み出す上で,弁護士に太鼓判を押してもらいたくて相談される方もおられます。

しかし,そもそも弁護士に相談に来られる方の多くは,悩みや問題をご自身で抱えきれなくて来られているわけです。
しかも,そこでの決断が,人生のとても大きな岐路になっていることが多いです。

仕事に倒れた夫。残されて子どもを抱える妻。自らの責任を認めようとしない企業。
真実を追求し,夫の名誉回復を求めてたちあがるのか。
長く苦しいたたかいに,傷つけられたこころや身体がもつのだろうか。

資金繰りに行き詰まった中小零細企業の代表者。
経営状況を厳しく分析しつつ,再生に向け,乾坤一擲の努力を図るのか。
身内や従業員への被害拡大リスクを熟慮して,早期に会社を閉じるのか。

ときには重く,かつ苦しい選択だと思います。何が正しい選択か,簡単に答えは出ません。

そんな場合,いくら弁護士からいくつかの選択肢を示されたとしても,すぐに決断して行動する,ということにならないのは,当たり前とさえ言えるでしょう。
だから,私としては,状況が許す限り,そういったときの依頼者の方の心の「ゆれ」を,むしろ大切にしていきたいと思っています。

人は,色々考え,思い直し,悩みながら,そのとき考えられるより良い途を選択していきます。
その過程があるからこそ,抱えておられる悩みや問題を,いつの日か乗り越えていくことが可能になるのだと思います。

「ゆれ」つつも,より良い選択をしていただく,その際の良きアドバイザーでありたいと思っています。

(2008/08/12)

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